教育の2020年問題って知ってる? 背景にあるのは安倍政権・財界の要望
【2020年の教育問題】を石川一郎氏が徹底解説1/3
センターが新テストに。記述式が導入されるってよ!
石川…例えば、2020年からこれまでのセンター試験が新テストに変更されます。まだ内容がきちんと固まったわけではありませんが、従来のマークシートタイプから一部記述を含む内容などへ変わるように検討されていますね。
トオル…センター試験が記述式かあ! これはすごい変化ですね。
シズカ…でも先生、試験の方法を変えたからといって、「英語を使いこなせない」「言われたこと以外しない」状況は改善されるのかしら。それが疑問だわ。
石川…なかなか鋭い指摘で一理あります。しかし今はとにかく、形だけであったとしても何かしらの変化が必要です。これまでの教育制度のままでは時代に取り残されてしまうでしょう。「言われたこと以外しない」は皆さんいいことだと思いませんよね? でも「言われたこと以外しない」ような人間が評価される内容になっていたのです。
トオル…え、どういうこと? 「それぞれの個性を持ちましょう」みたいなこと言われた記憶があるけど……。
石川…伝統的な日本企業は、締め切りや到達目標を設定し、それまでに高いクオリティに仕上げたアウトプットで提出する。その途中でPDCAサイクルを回しながら、締め切りから逆算して作業をし、成果をあげてきました。従業員は与えられた仕事をきちんとこなすだけでよかったのです。
シズカ…「言われたこと以外しない」方が昔はよかったのね。
石川…翻って学校教育を見てみましょう。ここでも求められるものは似ています。到達目標が中間テストなどの定期テストであり、それに向けて逆算し、要領よくできる人が高い偏差値のランクに収まっていた。サラリーマンを育てる教育として合っていて、偏差値が高ければそれなりに仕事ができるという法則が成り立っていました。高度経済成長時代のような日本社会が順調に伸び、国内の市場だけで十分ビジネスができる時代なら良かったわけです。
シズカ…でも、時代が変わったってことよね。
石川…そうですね。いつの間にか、大学入試の制度や学校教育が世の中と乖離していることが問題になっているのです。
トオル…なるほど。教育制度をまず大きく変える必要がある。そして試験形式の変更はその象徴ということだね。
シズカ…センター試験の代わりの新テストでは記述式があるってことだけど、もう少し踏み込んでお聞きしたいです。